第99章 電柵づくり(2021.12.12)
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京北、美山地区には、今でも奈良時代の伝説として「八つ頭の大鹿退治」の逸話が語り継がれている。713年、元明天皇の時代、「八股角鹿」という八つの頭がある大鹿の化け物が現れ、京の都に災いをもたらしていたとのこと。
そこで命を受けた香(甲)賀三郎兼家は、昭和初期まで村があった廃村八丁で有名な八丁山で大鹿を退治したお話。
弓削(ゆげ)八幡宮社で加護を祈り、弓矢を削り準備、今でも弓を研いだことから京北弓削の地名や弓削八幡宮があり、また、美山の知井八幡神社や佐々里八幡神社にも、この逸話が語り継がれている。
この地域は、昔からそれはそれは山深く、多くの鹿や熊、猪などの動物たちが生息している地域であったことでしょう。大雪の時期や山に餌が少なると山を越え都にも夜な夜な現れては畑の農作物に被害を及ぼしていたと思われる。
そんなことが容易に想像される逸話です。
山小屋では今まで農作物やブナの森づくりに向け、畑の開墾や植林を行ってきた。しかし、近年の暖冬で雪が少ないことから小鹿の生存率が高まり、鹿が増え、ことごとく彼らの餌場と化していた。
一方、2017年10月から市内で畑を借りて農作物を作っていたこともあり、山での農作業はほぼ中断していたが、この夏に地主さんが亡くなり相続問題から11月末で土地を手放すことになり、畑から退去となった。この間、トマト、トウモロコシ、スイカ、モロヘイヤ、空心菜などの夏野菜、ダイコン、白菜、キャベツなどの冬野菜やサヤエンドウ、ソラマメ、枝豆、落花生、ジャガイモ、サツマイモ、土生姜など、多くの野菜を育ててきた。旧知の知人からいただいた苺の苗を育て、この春は苺狩りで忙しかった。特にホクホクのソラマメは初夏のビールには最高のお供となった。
やはり土いじりは楽しい。桂川の岸にある畑を紹介されたが、思案の上、原点に戻り、山小屋がある土地を開墾して、畑をやることを改めて決意した。そのため、まずは電柵システムの工作をこの秋から開始した。
これまでの経験で太陽パネルの知恵はある程度あったが、それでも電気の知識が十分にある訳でもないので、今から約20年ほど前にこの山小屋に独立電源を設置してもらった旧知の仲間、電気の先生に相談し進めている。ネット上にはうまく調べれば知識は多く溢れているが、やはり知恵に勝るものはない。
「点火コイルのシステムはどうやろか」
「使えるよ、強力な電流が流れるよ」
「初代パネルの+−、どうしたら分かるやろか」
「デジタルマルチメーターで電圧を調べればいいよ」
「そう思ってデジタルマルチメーターの電池、DAISOで9vリチウム購入したよ」
「乾電池で+、−を交互に実験するとわかり易いけど、その前にプローブの先端とメータのつまみの錆を落としてからテストしたらいいね」
「プローブに触れても感電しないよね」
「・・・・・だから大丈夫」
「なるほど、合点」
「この分だと電線を購入して1万5千円以内で電柵システムが完成できそうだよ」
「あとは畑の開墾と主柱立てなどの重労働があるけど」
春まで今まで使っていた畑の整備と杉の木を搬出した山道を畑に転用したのち、工作した電柵システムを設置し、蕎麦を蒔く予定。上手くいけば、春と秋の2回の収穫を目論む。春と秋に蒔く蕎麦の種も検討しよう。収穫の後のことは今後のお楽しみの夢としたい。
(次回に続く)